1月生まれの画家たち
ニコラ・ド・スタール
ギュスターヴ・ドレ(1832-1883)アントニオ・ロペス・ガルシア
パルミジャニーノ
フセーペ・デ・リベーラ(1591-1652)カイム・スーティン
ベルト・モリゾ
ジョヴァンニ・セガンティーニ(1858-1899)アンリ・ファンタン=ラトゥール(1836-1904)ポール・セザンヌ
エドゥアール・マネ
キース・ヴァン・ドンゲン(1877-1968)ジャクソン・ポロック
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ニコラ・ド・スタール(Nicolas de Staël 1914.1.05.-1955.3.16.)
1月5日はニコラ・ド・スタール(Nicolas de Staël 1914-1955)の誕生日! Happy Birthday でもやっと絵が認められて、描きに描いていた頃に行き詰まって41歳の時に自殺した。
帝政ロシア末期、名門貴族の家にサンクトペテルブルグで生まれたが、1917年のロシア革命で生活は変わり、苦しい生活の中で一途に絵の生活をフランスで続ける。
30歳後半より、風景を中心に具体的なものを描く彼の作品は、力強い厚塗りの色面で構成され、見る人には「抽象画」と感じさせる。
こどもたちに、家並みと遠景の水平線を描いたTATE所蔵の作品(下段リンク先)を「抽象画」としてこの作品を見せたら、「では、この作品は風景画といわないの?」と疑問を投げかけられた。
「いや、描いた人は具体画であっても、見る人には抽象画となる」と訳のわからない説明をしてしまった。
http://www.tate.org.uk/art/artworks/stael-landscape-study-t00607
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アントニオ・ロペス・ガルシア(Antonio López Garcia 1936.1.06- )
6日はスペインの偉大な現存画家アントニオ・ロペス・ガルシア(Antonio López García)の誕生日。
その写実は、カメラによる写真と異なり、人間の眼と手によって長い時間とともに画面に定着される。描く行為さえも画面に固定されていくように感じる。それを感じたのは、ロペスがマルメロの実の成熟や季節とともに変化するその対象を描こうとする姿を、ビクトル・エリセ監督が記録した映画『マルメロの陽光』を見た時からだった。
Happy Birthday to Antonio López García!!
2013年、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催された日本最初の個展「アントニオ・ロペス展」は、印象深く残っている。
その写実は、カメラによる写真と異なり、人間の眼と手によって長い時間とともに画面に定着される。描く行為さえも画面に固定されていくように感じる。それを感じたのは、ロペスがマルメロの実の成熟や季節とともに変化するその対象を描こうとする姿を、ビクトル・エリセ監督が記録した映画『マルメロの陽光』を見た時からだった。
「作品」はもとより、「描く行為に意味があり重要」と考えているアーティストという感じ。
その意味では、コンセプチュアル。
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パルミジャニーノ ( Girolamo Francesco Mazzola il Parmigiano 1503.1.11.-1540.8.24.)
1月11日はイタリア16世紀前半の画家通称パルミジャニーノ ( Girolamo Francesco Mazzola il Parmigiano 1503.1.11.-1540.8.24.)の誕生日。パルマ生まれだからパルミジャニーノと呼ばれていた。
G.ヴァザーリの「美術家列伝」によると、「この男は優れた画工に必要とされる、およそすべての素質を天から存分に授かっていた。彼の手による人物画はその仕草の中に、ある種の艶やかさや甘美さ、淑やかさがみられる...彼によって芸術界は優美さという名の教示の明かりで照らされたのである。」と大変な褒め言葉がならぶ。この作品はウィーン美術史美術館にある《凸面鏡の自画像》、1524年の作だから彼が20歳過ぎの作品。この作品を持って翌年ローマへと活躍の場を求め出かけ名作を残す。残念ながら37歳で亡くなる。ヴァザーリは続けて述べる。「ああ、もしこの男が水銀を固めるような奇想にうつつを抜かすことなく、絵画の道にいそしむように神が思し召されていたら...」。
この早熟の天才は、どうも当時の精神的、心理的な調和である〈金〉を獲得しようとする錬金術の虜になっていたようだ。
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カイム・スーティン(Chaim Sourtine 1893.1.13.-1943.8.09.)
13日は、エコール・ド・パリの画家の一人カイム・スーティン(Chaim Sourtine 1893-1943)のHappy Birthday!!
バーンズ・コレクションのこの作品(ケーキ職人)は、コレクターバーンズが、全く売れてなかったスーティンの絵を画廊でみて、気に入りまとめ買いをした作品の一つ。だから、バーンズ・コレクションにはスーティンの作品は多い。人物は歪んでいるが、風景はもっと歪んでいる。
http://www.barnesfoundation.org/collections/art-collection/object/6636/the-pastry-chef-baker-boy-le-patissier?artistID=51&rNo=6崩れた形、激しい色のスーティンの作品について、「フランシス・ベーコンの肖像画に先鞭をつけたものであり、またデフォルメ処理は、アンフォルメルの画家ジャン・フォートリエの前例」という解説もある。
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ベルト・モリゾ(Berthe Morisot 18411.14.-1895.3.02.)
14日は、ベルト・モリゾ(Berthe Morisot 1841-1895)のHappy Birthday!!
1872年、モリゾは親子の愛を描いた作品「ゆりかご」を制作。
このモデルは結婚で画家を諦めたモリゾの姉エドマと姪。姉妹は一緒に絵の勉強をしていた。
同じ年に、エドゥアール・マネは、モリゾをモデルに「すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ」を描いている。
この絵は黒が好きなマネらしい美しい絵だ。
「ゆりかご」は1874年の第一回印象派展に出品。
モリゾは、その年の暮れに、マネの弟ウジェーヌ・マネと33歳で結婚。
そして、37歳の出産と現代女性のようだ。
当時の女性としては、自分の意志で物事を決し、画家として活躍した近代的な女性であった。
1872年に制作されたこの2つの作品は、2007年に日本で開催された「オルセー美術館展」に展示された。
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ポール・セザンヌ(Paul Cézanne 1839.1.19.-1906.10.22.)
1月19日は、20世紀の新しい絵画、キュビズム、そして抽象画へと展開する絵画史に多大な影響を残したポール・セザンヌ(Paul Cézanne 1839-1906)のHappy Birthday!!
セザンヌは、堅固な空間を構築する画面を作り上げていったが、私は「セザンヌの静物画」が好きだ。テーブルの上の果物や瓶を自在に再構築した絵画を時間をかけて見ていると、鮮やかな色とゆるぎない形態による構図から彼の試みが見えてくる。
http://www.nga.gov/content/ngaweb/Collection/art-object-page.136014.htmlこの1878,9年に描かれたNational Gallery of Art の「三つの洋梨」は、三つの洋梨を並べて描いたのだろうか。
いや、一つの洋梨をセザンヌが自分の空間秩序を探すために、3つに並べて再構築して描いたように思える。セザンヌの静物画は面白い。
そして、追加記事。
19日はポール・セザンヌ(Paul Cézanne 1839.1.19.-1906.10.23.)の誕生日。
セザンヌといえば、30歳のモーリス・ドニの描いた「セザンヌ礼讃((セザンヌ頌)」(1900-01年、オルセー美術館 画像は⇒http://bit.ly/1zoYzuP )を見るとセザンヌの作品が讃えられていたことがわかる。
アンブロワーズ・ヴォラールの画廊の中で、セザンヌの「静物画」を囲み多数の人物が集まる群衆肖像画、1.8x2.4mの大作。
この作品が描かれた1900年は、セザンヌは61歳で既にパリを離れ故郷エクス・アン・プロヴァンスで制作を続けていた。セザンヌはこのパリの画廊で個展を開いたことがあるが、未だ一般的に高い評価を得ていない時期、30歳のモーリス・ドニはじめ、ナビ派のボナール、ヴュイヤールなど若い画家たちはセザンヌの新たな絵画への挑戦を尊敬していた。画面最左端の年老いた紳士はオディロン・ルドンという、60歳であった。外ではなく内面の魂を見つめるルドンもまた尊敬される画家であった。
更に、セザンヌのこの「静物画」は、ナビ派の指導者的な役割りを果たしたゴーギャンの愛蔵品であった。タヒチへと移り住んでしまったゴーギャンを偲ぶ思いも込められているものと思われる。
因に、このドニの「セザンヌ礼讃((セザンヌ頌)」は、発表後ドニと同年代の『背徳者』を書いた頃のアンドレ・ジードが購入してコレクションしていた作品。
http://www.photo.rmn.fr/C.aspx?VP3=SearchResult&VBID=2CO5PCA9VKFI&SMLS=1&RW=1287&RH=614&PN=1#/SearchResult&VBID=2CO5PCA9VKFI&SMLS=1&RW=1287&RH=614&PN=1・
エドゥアール・マネ(Edouard Manet 1832.1.23.-1883.4.30.)
1月23日は印象派のリーダー的存在のエドゥアール・マネ(Edouard Manet 1832-1883)の誕生日。
相当豊かな家に生まれた、自分はサロンの出品するが落選が多い。
1867年のパリ万博に自分の作品が展示されないことに反発、親の援助のもと仮説会場を作って自分のワンマンショーを行なったという。
印象派の中心人物だったということを思わせるファンタン=ラトゥールが描いた集合肖像画がある。その中に画家以外でエミール・ゾラが描かれている。
また、ゾラの肖像画はマネも1868年に描いている。背景には浮世絵と一緒にマネの絵もある。ゾラといえば、パリ生まれであるが、少年時代にはエクサンプロヴァンスで過ごしたことがあり、そこでセザンヌとも友達になっている。
ゾラは不思議な人だ。マネに好意的な評論で、マネを相当に擁護していたようだ。二人の関係をもっと知りたい。
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ジャクソン・ポロック(Jackson Pollock 1912.1.28.-1956.8.11.)
1月28日は、絵画美術の中心地をアメリカへと引きつけたジャクソン・ポロック(Jackson Pollock 1912-1956)の誕生日!!
アメリカへ亡命中のシュルレアリストたちの「芸術の源泉は無意識にある」に影響を受け、「絵の中にいることを意識しながら新しい抽象画を描いた」。
http://bit.ly/LixjeGスミソニアンのハーシュホーン美術館と彫刻庭園所蔵のポロックの作品「Number 3, 1949: Tiger, 1949」について、こども向けの解説があった。
「この絵はどこを見ればいいのかわからないよ」に答えて、
「一度のすべてを見たくなります.絵のどこを見てもほかの部分より重要に見えないので、視線が同時にいろいろなところに奪われます。中央に何かが描かれているわけでもなく、絵の上下、左右を示すものもありません。はじめは混乱しますが、やがて、通常の基準はここでは適用されないということ、始まりも終わりもないことを受け入れざるを得なくなるでしょう。」(出典:「フランス流はじめての名画の見方」フランソワーズ・バルブ・ガル著 栗原千恵訳 バイインターナショナル刊)
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追加:
ジョヴァンニ・セガンティーニ(Giovanni Segantini 1858.1.15.-1899.9.28.)
1月15日はアルプスの画家といわれるイタリア生まれのセガンティーニの誕生日。
2011年に展覧会があった。
「アルプスの画家 セガンティーニ ー光と山ー」(損保ジャパン東郷青児美術館)
ジョヴァンニ・セガンティーニ(1858-1899)といえば、日本では、大原美術館の作品「アルプスの真昼」(1892年)を思い浮かべる。
アルプスの澄んだ強い光の中で働く人を描いている。
この展覧会の記事があるので、それを見てほしい。
http://teshihouse.exblog.jp/17306320/